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sink into a swamp

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これはとある人がとある人に後悔したちょっとしたある話
死亡表現があります!!ご注意ください!!



離婚したのは単純に息子を見ないからだった
今を思えば大人のくだらないケンカの一番の被害者だったと思う
アイツは息子を引き取るの一点張りだった

俺は好きにしろと言った
いや、言ってしまった方が近い
変なプライドが俺を邪魔をしてかっこよく見せたかっただけかもしれない
それが大きな間違いだった

新しい夫婦で虐待をしているらしいじゃないか
それを聞いた時、頭に血が昇った

「おい!!ヒムカに当たるな!!」

そう言っても彼女は首を振るだけだった
親権はあるものの一向に手放さない所からして
きっとヒムカはサンドバック代わりなんだろう
まだ、齢11というのに…もう、こんなの生みの親として我慢がならなかった
学校や警察に通告、俺は軍人だ意見ぐらい通るだろう
そして、ヒムカが帰ってないと聞いて思い当たる所を探し当てた時には
学校の屋上で声をかけようと思った
俺としては手でポンッと肩を置いたつもりだった…

……だった

彼は思った以上にやせ細っていたのが分かってたくせに
それが原因で学校の屋上から落ちてしまった

一気に怖くなった
俺が殺してしまったんじゃないかと
俺はすぐに階段を駆け下りグラウンドに出ると
頭から血が流れていた、きっと全身骨折してるだろう
通信機を取り思いっきり救急車を呼べ!!と怒鳴った
向こうも何が何だか分かってなかっただろうが緊急事態とだけは分かったらしい
すぐに救急車を回してくれた
ありがたい部下達だ

緊急治療室に入りずっと彼の様子を見ていた
海軍大将にはしばらく席を開ける事を話した
理由はあえて言っていない
声のトーンからして察してくれたと願いたい

看護婦がつきっきりでヒムカの容体を一つ一つチェックする
俺がガラスを挿んだ向こう側の固い長椅子でそれをずっと見守っているばかりだった
昼も夜中も、ずっと付きっきりで
看護婦も良いお父さんですねと言うが
そんないい奴じゃない、俺は
ヒムカを置いてきぼりにしたうえに殺そうとまでした俺に父親失格の烙印しか押せないだろう
置いてきたが故に体と心がボロボロになって、
迎えに行こうと思ったが故に殺しかけたのだから

何度悔やんでも悔やみきれない

病院の先生には俺が運んだ事は教えないでくれと同時に
児童保護施設への入居の話をしておいてくれ…と言った
アイツ等に関しては虐待していた事を通告するため
医師から診断書を貰い、手続きを行い逮捕してもらった

無論、俺が自ら出向いた

そうじゃないとケリが付かないし
俺としては罪滅ぼしのつもりだ…きっとなってないけどな

ヒムカが回復したのと同時にまた海軍に戻った
これで、また普通の生活がアイツに戻ってくるだろう…
そう思って数年、俺も齢50となっていた
流石に退役はしたが軍学校の校長に抜擢され
士官候補生を指導していた時だった
アイツが脱獄、元妻と共に
それを聞いた時には復讐のためにヒムカを殺すんじゃないかと思い
警備を増強させた、そして今まで関わってきた学校や病院にヒムカの居場所を聞かれても答えないようにと
通告した。それと同時にヒムカは卒業した
3年で射撃の優秀成績を納めたら拳銃だが、本物を持たせるプレゼントをした
無論彼が一番好いていたピース・メイカーだ
悪用されないように軍管理はしていて悪用しないように実戦に出るまで撃てない様になっている
…が彼は最速で二等兵になり、銃の許可も下りた
これで何があっても守れるはず…そう思った矢先に

元妻の死体が上がり、その一週間後、アイツの死体が上がった
元妻は切り刻まれて、アイツは両肩を撃たれて。

脱獄犯を捕まえたヒムカは一気に人気もになり伍長へと昇格した
その時は19だった

………………

俺にも病気が見つかり、そう長くないと医者に宣告されたある日
彼に手紙を送ろうと思った、昔、戦闘でも遊びでも使っていたオレンジのゴーグル
ミナモシティにある灯台そこに毎日通っていたらヒムカが俺の目の前を通り過ぎた
…もう忘れてるんだろう、俺の事を
人は、声から始まり最後には顔も忘れると
彼の中にはもう俺は居ない

手紙を開いて中からゴーグルを取り出し手紙を黙読して一言

「ふざけんじゃねぇ…っ!!」

当たり前の返事だ
今出会ったとして殴られても抵抗する気は無い

「俺が一体どれだけ大変な思いをして…」

「…」

「絶対に、絶対に負けねーからな!!」

ボロボロ涙を流しているのだろう、声が震えていた
俺は静かにその場を立ち去った

あれから戦争が起き、この病院も騒がしくなった頃俺は眠気につられ瞼を閉じた
あぁ、俺もきっと地獄行きだろう。大切にできなかった罪だ
でもな、ヒムカ俺はお前をずっと愛していた

不器用な父を許してくれ


享年、53

ミュエ=ゾルフ=アズラク
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