陸軍の病院に訪れたヒムカ。
受付を済ませ、タリスが居るであろう病室にはタリスの姿は無い
せっかく果物の詰め合わせセットを持ってきてリンゴでも剥いて
ウサギリンゴでも作ろうかと思ったが肝心の本人が居ないのでその計画は無しとなった
室内をあまりに詮索するのはよくないと思い
窓から外を覗くと庭の方だろうか
タリスらしき人影が見える
果物の詰め合わせを病室に置き
病院の中庭に足を運ぶと木陰のベンチにタリスが居た
「なんだ…貴様か」
「なんだ…って。御見舞に来たんだよ。」
そう言ってタリスの横に座る
もうすぐ夏なのか空は晴れて吸い込まれそうなほど青い
「タリス、怪我の方はどう?」
「目の方はまぁ、あれだが…腕は何とか、今度の戦いのときには間に合うかもしれん」
「あんまり無理すんなよー」
そう声をかけるが以前のようにまた無理をするかもしれない
今回の事で医者にこっぴどく怒られたに違いないのだから
そのまま他愛のない会話が続き
そしていつの間にかこの戦いがいつ終わるのだろうかという話になった
各国は今国交の復活を図ろうとしている事は耳に届いた
だがまた戦いがいつ始まってもおかしくないこの状況に不安を覚えるものは確かに居る筈だ
「なぁ、タリス」
「何だ?」
「…この剣返すわ」
そう言って腰から描けていた剣を返す
つばの欠けた所も直っている
もしかしたらヒムカが修理に出してくれたのかもしれない
「修理に出してくれたのか…?」
「え?あぁ…まぁ…」
「そうか、ありがとう」
「それよりさ、タリス」
「今度は何だ?」
「手、出してくれる?」
タリスが不思議そうに左手を出すとヒムカが左手の薬指に銀の指輪をはめる
「な…っ!?」
「あー!やっぱりぴったりだな!」
そう言ってすぐに指輪をはずす
そして次に取りだしたのは小さな水色の小箱
中を開けると銀のリングがもう一つ
「それ、この戦いが終わるまで持っててくれる?」
タリスには理解できたかどうか分からないが呆然とヒムカを見ている
ヒムカは照れ臭そうに言葉を続ける
「あ、嫌だったら投げ捨ててもいいけど。」
「それは…」
「この戦いが終わったらさ…迎えに行くから」
それだけ言ってさっさと帰るヒムカにタリスは何も言えず
ヒムカと銀のリングが入った小箱を見つめるだけである
ヒムカの手には緋色の小箱その中にはさっきタリスにはめた銀のリング
それを懐になおし、病院を後にした
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タリスさん(@清峰さん)をお借りしました!!
うふふ、ついにやってしもうた感はありますが全てタリスさんに委ねてますね決定権は…
強制しないのがヒムカなんです